筆者は写真の大学や専門学校を出ているわけではありません。そういう施設で写真を学んだ人は当然写真の歴史を学びますが、筆者は独学でした。近年は写真をはじめるきっかけも様々で、筆者のように専門課程を経ることなく写真業に携わる人も多いのではないかと思います。筆者が写真の歴史について知ろうとしたきっかけは、知人に言われた一言です。

 

ロバート・フランクの『The Americans』という有名な写真集があります。昔知人らが『The Americans』の話題で盛り上がっていました。当時筆者はロバート・フランクの名前を知らなかったので、「何ですかそれ?」と聞いたところ、「あなた、ロバート・フランクも知らないの?」と返されました。その後何を言われたのかうろ覚えなのですが、写真をやるならロバート・フランクの名前と『The Americans』くらい知っておきなさい、有名な先人の作品をたくさん見なさい、写真の歴史についてもっと勉強しなさい、といった内容のことを言われた気がします。当時の私はこの言葉が妙に頭から離れず、すぐ写真の歴史について学ぶことにしました。

 

写真の歴史を学ぶことの意義について私なりの考えを言いますと、好き嫌いは置いておいて、写真業に携わるなら写真の歴史や流れを簡単で良いので押さえておいた方がよいと思います。写真の歴史をざっくりと理解するのに役立つ本もありますので、暇な時にでも読むとよいでしょう。どんな写真技法があったのか、今でも使えるのかを知るだけでも自分の表現の幅を広げるのに役立ちますし、時代的背景・技術発展・思想の流れを知った上で当時の写真を見ますと、なぜある写真家や写真が有名になったのかとか、なぜある時代には似たような空気感の作品が多いのかとか、より深く写真を理解できると思います。流れを理解することで、現在の写真界や今の自分の立ち位置を把握することにも有効です。また、歴史を追っていく過程で、時代に関係なく人を惹きつける力を持った写真に出会うこともあります。

 

写真に限らず、時の流れを知ることはとても重要なこと思います。過去を知り、その経過や結果から得られた情報を省み、今に活かす。それは世界、国、社会、集落、家庭、そして個人、どのレベルでも重要です。今の文明があるのは先人の労力や想いの積み重ねの結果です。これは筆者の個人的考えですが、それらを慮り、未来を開いていこうとする意志がよりよい世界になっていく鍵ではないでしょうか。奇しくも本日は東日本大震災から13年目。ご冥福をお祈りすると共に、その出来事の顛末を未来に活かしていきたいと思います。

 

現在筆者出張続きでなかなか文を書く時間が取れていません。

しばらく期間が空きますが、次は月末頃の更新を予定しております。