ここ2週間ほど、寒い日が段々と増えて参りました。季節はすっかり秋ですね。
先日、来年の写真展に合わせて出版する写真集の原稿がほぼ完成しました。以前写真集を作った時は、編集やデザインを各専門家に任せたのですが、今回は専門家にアドバイスをもらいつつ自分で制作するという形にしました。慣れない作業や思考と格闘しつつも、何とか自分のイメージに合うものができたと思っています。今回の写真集制作は写真の見せ方について改めて考える機会となりました。そこで本日は写真の見せ方について、単写真、組写真、写真展(個展)、写真集それぞれに思うことをお話ししたいと思います。
単写真とは、文字通り一枚の写真という意味です。一枚だけで表現するので、作者の想いをシンプルに表すことが可能です。もちろん、一枚に何重かの意味を含ませることもできます。どうするかは作者次第ですが、重要なことは、その一枚に強い力が備わっている必要があります。力とは、鑑賞者を惹きつける力ということです。それがどういった類のものか、つまり鑑賞者の意識状態をどのような方へ持っていくのか、例えば、爽快、多幸、安心、救済、あるいは嫌悪、不快、憤慨、悲壮というような違いはありますが、どのようなものにせよ、感情を呼び起こし、意識に訴える力があることが大事です。一枚で表現する分、他の見せ方よりも、一枚に求められる力の閾値は高くなります。
組写真とは、これも文字通り、複数の写真を組み合わせて表現する手法です。複数枚使って表現するため、単写真よりも作者の想いを具体的に伝えることができます。また、単写真では表現の難しい抽象的テーマを扱うことも可能になります。ただ、一枚一枚で表現するのではなく、全体として表現しなくてはなりませんから、全体としてどうなのかという視点が大事です。写真間のつながり、強弱のバランス、サイズなどを意識しなくてはなりません。それらをうまく組み合わせることで、単写真ではできなかった表現ができます。ちなみに、一概には言えませんが、組写真というと、大体2点〜10点のイメージです。
写真展(個展)は、組写真という枠組みの延長にあると思っていただいて結構です。違いは、現物であることです。デジタル端末で画像を鑑賞できるという点で、組写真はデジタル空間でも成り立ちます。写真展をデジタル空間で開催することも可能でしょうが、現時点では、美術館やギャラリーなどの場所に作品を置き、鑑賞してもらうという方法が主流です。現実の空間を利用して表現するので、作品全体を意識するのはもちろん、客導線、支持体の選択、作品サイズ、配置といった空間要素を考慮しながら組み立てる必要があります。展示点数については、筆者の感覚では、10点〜50点のイメージです。
写真集。これも組写真+αという認識です。この+αの部分で特徴的なのが本であるということです。物理的な特徴としては、本のサイズ、形、ページ数、材質、デザインが考えられます。思考的特徴としては、読み進める上での流れやリズムをどのようなものにしたいのかを念頭に置き、全体を構成していくことが挙げられます。写真集に掲載する写真の数に基準はありませんが、筆者の体感だと、大体50点〜200点くらいの印象です(もちろん作者の意図とテーマによっては、これより少なくなったり多くなったりすることもあると思います)。写真展(個展)で100点〜200点展示するには広い場所が必要になりますし、情報量が多すぎて鑑賞者を混乱させてしまう可能性もありますので、そのような展示は実際的ではありません。それに対し、写真集ではそれらの懸念がほぼなくなります。たくさんの写真を扱って表現したい場合、写真集は有効と思います。また、ある程度文章を載せることもできるので、写真と文を合わせた表現ができることも特徴です。
ここまで単写真、組写真、写真展(個展)、写真集について、それぞれの特徴を挙げてきました。
ただ、詰まるところ、どのような表現もどれだけ己の想いを込められるか、がポイントになると筆者は思います。それが力を持った作品作りにつながるのだと感じています。